母の精神年齢

思春期の娘の相談からふと自分の母の事を思い出しました。

母は数年前に他界してもういないのですが

私が娘の歳くらいの時からずっと喧嘩ばかりしていました。

原因は「なぜ私の話をちゃんと聞いてくれないのか？」

でした。ずっと平行線でした。

聞いても聞いてもその答えは返ってきた事がありませんでした。

大人になっても自分が母になっても

母の考えが理解できませんでした。

ある時、母の妹と２人だけで会う機会がありました。

母は自分の妹とも折り合いが悪かったのです。

叔母は言いました。

「話せばわかると思っていたの。

　だけど大人になるまでの環境が違いすぎた。」と。

叔母からは母から聞いた事のない、いろいろな話を聞く事ができました。

母達兄弟は田舎のあまり裕福ではない家庭で育ちました。

母は中学を卒業すると同時に母の姉が働いていたおうちに

住み込みのお手伝いとして働く事になったそうです。

しばらくの間は母の姉と一緒に働いていたそうなのですが

母の姉は結婚が決まっていたらしく

すぐに母だけになってしまったそうです。

他に従業員がいたのかすらもう誰もわからないのですが

出来る事ならその家から高校に行かせてあげて欲しかったと

叔母は話ました。

定時制でもなんでもいい、同じ年ごろの友達ともっと勉強や

社会について学ぶ機会を与えて欲しかったと。

母の精神年齢は中学を卒業した１５歳のままだったのです。

友達もできる環境でもなく、そのおうちでお手つだいとして

働いて30歳近くで父と結婚しました。

その話を聞いて、私がずっと抱いていた違和感がなんだったのか

わかったような気がします。

母に自分の事をわかって欲しいと訴えてきましたが

届いた事がありませんでした。

学校での出来事や友達関係や人間関係での悩み

聞いてもらいたい事がいっぱいでした。

だけどまったく伝わらないのです。

母は中学生のままだったのです。

大人になって母と喧嘩しても

子どもと喧嘩しているような気になってしまうのも

気のせいではなかったのです。

私も大人になり母となって思春期の娘と話しをしていると

自分の過去が重なりだしてきて

こうやって母に話しを聞いてもらいたかったなと。

そして、もっと母と話しをしたかったなと思いました。

母なりにどう感じてどう思っているのか

今ならもっと上手に母の気持ちを聞いてあげられたように思います。

そしてもっと上手に自分の気持ちも聞いてもらえたかもしれないと。

娘のおかげで、私はたくさん成長させてもらっています。